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涙道の病気(涙目)

涙を流す女性

涙の役割は目の表面を潤し、異物から守ることですが、涙が流れる経路である涙道が閉塞して、正常に機能しないと、涙があふれ出る流涙症や、細菌感染による涙嚢炎などの症状が現れることがあります。流涙症とは、涙があふれ出て、涙目になる状態のことで、涙嚢炎とは涙道の一部である涙嚢(るいのう)に炎症が起きることです。

これらの涙道疾患について、当院では涙道の検査を実施し、正確な診断に基づいた治療を提案します。
必要に応じて涙道洗浄などの処置をはじめ、本院「きたあやせよつば眼科」での涙道内視鏡手術まで、当グループ内で一貫した治療を行うことができますので、目から涙が溢れる症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

目次

涙の仕組み

涙の流れ

涙は目の表面を覆い、乾燥を防ぎ、異物や刺激から目を保護し、目の表面に酸素や栄養を運びます。
また、涙は、複雑な経路を通って生成・排出される仕組みになっています。
ここでは、涙の生成から排出までの経路と、目の健康維持における役割について詳しく解説します。

涙道(涙の経路)について

涙道(涙の経路)について

涙は複雑な経路を通って目から鼻へと排出されます。この経路が「涙道」です。
涙道とは、涙が作られてから鼻に排出されるまでの通り道のことです。具体的には、涙腺で作られた涙が、目の内側にある涙点、涙小管、涙嚢、そして鼻涙管を通って鼻腔に流れていく経路を指します。
まず、涙が生まれるのは、目の上まぶたの外側に位置する「涙腺」からです。そして、まばたきをすると、その涙は眼球の表面全体に広がります。涙は目を潤した後、内側の角にある「涙点」という小さな穴から吸収されます。この涙点は上下のまぶたにそれぞれ1つずつあり、涙道への入り口となっているのです。
涙点から吸収された涙は「涙小管」という細い管を通り、やがて「涙嚢(るいのう)」と呼ばれる袋状の器官に集められ、涙を一時的に貯留する役割を持ちます。
最終的に涙は、涙嚢から「鼻涙管」という管を通って鼻の奥へと排出されますが、この鼻涙管は顔面の骨の中を通る細い管です。鼻涙管は、鼻の下鼻道という部分に開口しているため、泣いた時に鼻水も流れることになります。
この一連の涙道のシステムに閉塞や狭窄が生じると、涙があふれる症状(流涙症)や涙嚢の感染(涙嚢炎)といった問題が生じることがあります。

涙のはたらき

涙のはたらき

涙は感情を表現するだけでなく、目の健康を守るためにも欠かせない大切な役割を果たしています。
涙の役割で最も基本的なことは、常時、眼球表面を潤すことです。まばたきのたびに涙が広がり、角膜と結膜を乾燥から守ります。この潤滑作用により、まばたきがスムーズに行われ、目の不快感を防ぐことが可能です。
また、涙には目に入った細菌やウイルスから眼を守る防御機能があります。涙の成分には抗菌作用のあるリゾチームという酵素や免疫グロブリンが含まれているためです。
さらに、涙には栄養素や酸素も含まれており、角膜に栄養を届ける役割も果たしています。角膜には血管がないため、角膜の健康維持のためには、涙からの栄養供給が欠かせません。
加えて、涙には、目に入った小さな異物を洗い流す役割もあります。
ほこりや花粉などが目に入ると、反射的に涙の分泌量が増え、異物を排出します。
涙は表面を覆う油層、中間の水層、眼球表面に接する粘液層の3層から成り立つ層構造を持つ複雑な液体です。。これらがバランスよく分泌されることで、目の表面環境が適切に保たれ、クリアな視界を維持することができます。

こんな症状はありませんか?

涙を流す女性

涙道疾患による涙の症状は、年代によって現れ方が異なります。特に、先天性鼻涙管閉塞は新生児や乳幼児に多く見られ、一方、涙道閉塞症は中年以降の女性に多いとされています。
また、加齢による涙の排出機能の低下も涙目の一因となります。

次のような涙の症状でお悩みはありませんか?

  • 常に涙が溢れる
  • 意識と関係なく涙が溢れる
  • 涙がこぼれて視界がぼやける
  • 目やにがよく出る
  • 涙で目が腫れる
  • 目の周りの皮膚がかぶれる
  • 涙で化粧が崩れてしまう
  • 涙目が続く

注意!

これらの目の症状は日常生活の不快感だけにとどまらず、涙道疾患が隠れている可能性があります。
涙の正常な排出は、目の健康を維持するために重要です。
もし、涙が止まらない、目やにが多いなどの症状がある場合は、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
涙道疾患を放置すると、より深刻な合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。

1つでも当てはまったら眼科を受診しましょう

上記の症状が1つでも当てはまる場合、涙道閉塞症や涙嚢炎などの涙道疾患の可能性があります。
特に以下のような場合は、なるべく早く眼科へ受診するようにしてください。
涙の症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

主な涙道疾患

涙の病気について

涙道は涙の排出経路として重要な役割を担っていますが、様々な原因で涙を調節できなくなり、涙道疾患を発症することがあります。
涙道閉塞症と涙嚢炎は最も一般的な涙道疾患ですが、放置すると重篤な眼病の合併症を引き起こすリスクがあります。早期発見と適切な治療が重要です。

涙道閉塞症(鼻涙管閉塞症)

「涙道閉塞症」は、涙の排出経路のどこかが狭くなったり、完全に詰まったりする状態です。特に鼻涙管(涙嚢から鼻腔へつながる管)の閉塞が最も多く見られます。
涙道閉塞症の主な症状は涙があふれて止まらない、目がうるむ、目やにが増える、目頭が腫れる、痛みが出るなどです。
涙のあふれ(流涙)、目の違和感、目やにの増加です。
読書や細かい作業時に視界がぼやけたり、冷たい風や強い光に当たると極端に涙が出たりします。
涙道閉塞は年齢により原因が異なり、乳幼児の場合は先天的な膜の残存、中高年では加齢による内腔の萎縮や線維化が主な原因です。 その他、炎症、外傷、腫瘍などによる閉塞もあります。
涙道閉塞症の診断には涙道洗浄検査や涙道造影検査などが行われます。これらの検査により、涙道が閉塞しているかどうか、また、閉塞部位や原因を特定することができます。
治療は閉塞の程度に応じて、点眼薬などの対症療法から、涙道ブジー、シリコンチューブ挿入術、涙嚢鼻腔吻合術などの治療・手術まで様々です。

涙嚢炎

「涙嚢炎」は涙嚢に細菌感染が起こる疾患で、多くの場合、涙道閉塞が先行して発症します。涙嚢炎の主な症状は、目頭の内側(涙嚢部)の腫れと痛み、圧迫すると涙点から膿が出る、粘稠な黄色や緑色の目やにの増加、涙のあふれなどです。 急激に鼻涙管閉塞や狭窄によって涙嚢の炎症が発症する「急性涙嚢炎」の場合は発赤や発熱を伴うこともあります。
涙嚢炎は、新生児や乳児と高齢者に多くみられる疾患です。
涙嚢炎の主な原因は新生児の場合は先天的な鼻涙管閉塞が原因であることが多く、高齢者の場合は後天的な涙道閉塞による涙の停滞と細菌感染です。黄色ブドウ球菌や肺炎球菌が主な原因菌です。
急性涙嚢炎は突然の強い痛みと腫れが特徴で、慢性涙嚢炎は軽度の症状が長期間続きます。
涙嚢炎の合併症には周囲組織への感染拡大や、白内障手術時の眼内炎リスクの増大があります。治療は抗生物質の点眼・内服、必要に応じた切開排膿、涙道洗浄が一般的です。
症状が進行した場合、涙道閉塞を解消する外科的手術が必要になることもあります。
涙道疾患は適切な治療を受けることで多くの場合改善します。
しかし、症状を放置すると慢性化し、外科的治療が必要になることもあります。 涙が過剰にあふれる、目やにが増える、目頭が腫れるなどの症状がある場合は、早めに眼科医の診察を受けましょう。

POINT

新生児や乳児の先天性の鼻涙管閉塞による涙嚢炎の場合は、自然治癒する可能性も高いため、経過観察をすることが多いです。ただし、炎症がひどい場合や、痛みを伴う場合は、早めに眼科を受診する必要があります。

涙道疾患に対する当院での検査

涙道疾患に対する当院での検査

当院では、涙があふれる、目やにが増える、目頭が腫れるなどの涙道疾患の症状がある患者様に対して、以下の検査を実施しています。

細隙灯顕微鏡による検査

細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)は、眼科の基本的な検査機器で、目の表面や前眼部を詳細に観察することができます。
これにより痛みを伴わず、数分程度で涙道疾患を診断することができます。涙道疾患の初期評価に欠かせない基本検査です。

涙道疾患は、以下の点から診断します。

  • 涙点の大きさや位置、閉塞の有無
  • 涙点周囲の発赤や腫れの確認
  • 涙道の閉塞や狭窄、炎症の有無
  • 涙嚢部の腫脹や圧痛の有無
  • 眼表面の角膜や結膜の状態評価
  • 目やによる結膜炎の程度
  • 涙の量や質の評価

涙道通水検査

涙道通水検査は、涙道の通過性を確認するための重要な検査です。
検査時間は数分程度で、具体的な方法は以下の通りです。

  • 目の表面を麻酔する点眼薬を使用します
  • カニューレと呼ばれる細い管を涙点から挿入します
  • 生理食塩水を少量注入し、涙道の通過性を確認します

この検査により、涙道のどの部分に閉塞や狭窄があるのかを特定できます。
患者様が「鼻の奥に水が流れた」と感じれば涙道は開通しており、「水が逆流する」「反対側の涙点から出てくる」場合は閉塞があると判断します。
検査中に軽度の圧迫感や違和感を感じることがありますが、通常は強い痛みを伴いません。
検査により医師が必要と判断した場合は専門的な治療を行うため、本院(きたあやせよつば眼科)へご案内いたします。

涙道疾患の治療

きたあやせよつば眼科の手術質

涙道疾患は適切な治療により症状の改善が期待できます。
当院での検査や医師による診察の結果、必要と判断された場合は、専門的な設備と技術を備えた本院(きたあやせよつば眼科)での治療をご案内します。
涙道疾患の治療法は症状の程度や閉塞の部位によって異なりますが、主な治療法は以下の二つです。

涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術

涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術は、閉塞した涙道を内視鏡で直接観察しながら行うため、患者様に対する負担が軽減される治療法です。極細の内視鏡を用いて涙道内を直接観察し、涙道の狭窄や閉塞部位を特定した後、シリコン製のチューブを挿入して涙の流れる経路を確保します。

POINT

この方法の利点は、皮膚を切開する必要がなく、自然な涙道を利用できることです。外見上の変化がなく、回復も比較的早いため、軽度から中等度の涙道閉塞に適用されます。
手術時間も短く、多くの場合日帰り手術で対応可能です。

涙嚢鼻腔吻合術

涙嚢鼻腔吻合術(DCR:Dacryocystorhinostomy)は、閉塞した鼻涙管の代わりに、涙嚢と鼻腔の間を直接つなぐバイパスを作ることで、涙の流れを回復させることを目的とした手術です。特に鼻涙管の完全閉塞や高度な狭窄、慢性涙嚢炎を繰り返す場合などに選択されます。
手術では目頭の内側に小さな皮膚切開を行い(外切開法)、または鼻の中からアプローチし(内視鏡下法)、涙嚢と鼻腔の間に新しい通路を作ります。この方法は重度の涙道閉塞にも効果的です。
手術後は数か月間、新しく作られた経路が安定するまでシリコンチューブを留置することが一般的です。

お気軽にお問い合わせください。

ザ・タワー十条よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。 予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。
※ご予約なしの場合でも診察は可能です。ただし、ご予約の方が優先となりますので、予めご了承ください。

視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。

この記事の執筆者
ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

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