「十条」駅徒歩1分の眼科 | ザ・タワー十条よつば眼科医院
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糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として最も注意が必要な病気の一つで、進行すると失明に至ることもあります。
早期の自覚症状は乏しいため、糖尿病の診断を受けた方やその可能性がある方は、定期的な眼科受診が欠かせません。

当院では専門医による丁寧な診察で、患者様一人ひとりに合った治療と予防を行っています。

ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

目次

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は、糖尿病による持続的な高血糖が眼の網膜の細小血管に障害を引き起こし、網膜出血や浮腫、血流障害、新生血管の形成などの異常を伴う病態 です。
初期段階では自覚症状が乏しいことが多く、進行すると視力低下や最悪の場合は失明リスクを伴います。

網膜症の進展は、単純網膜症 → 増殖前網膜症 → 増殖網膜症と段階的に進むことが一般的で、虚血領域の拡大や新生血管の出現が転機になります。
定期的な眼科検査を受けることと、適切な血糖コントロール・高血圧管理を行うことが、発症・進行予防において非常に重要です。

そもそも糖尿病とは

糖尿病とは、 血液中のブドウ糖を細胞に取り込む働きを持つホルモン「インスリン」の作用が不足し、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気 です。
放置すると血管や神経に障害が及び、網膜症や腎症、神経障害といった合併症を引き起こす可能性があります。

糖尿病には大きく分けて2つのタイプがあります。
1型糖尿病は自己免疫反応などにより膵臓のインスリン分泌がほとんどなくなる病態で、若年発症が多く、インスリン注射が不可欠です。
一方、2型糖尿病は生活習慣や遺伝的要因が関わり、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」や分泌低下が徐々に進行するのが特徴です。
日本人に多いのは2型糖尿病で、食事・運動療法や薬物療法でコントロールを行います。

糖尿病網膜症の種類と症状

糖尿病網膜症の種類と症状

糖尿病網膜症は、進行段階によって症状や所見が異なります。
初期は自覚症状がほとんどなく、眼科検診でのみ発見されることも珍しくありません。
進行とともに網膜の血管が障害され、視力低下やかすみ、飛蚊症(黒い点が見える)が現れるようになります

単純網膜症では小さな出血や血管の異常が見られる程度ですが、増殖網膜症に至ると新生血管が生じ、硝子体出血や網膜剥離を引き起こし、失明の危険性が高まります。
症状は進行に伴って変化するため、糖尿病患者の方は定期的な眼底検査が不可欠です。

POINT

・初期は自覚症状がほとんどない
・進行とともに視力低下や失明リスクが高まる
・定期的な眼底検査で早期発見が重要

単純糖尿病網膜症

単純糖尿病網膜症は、糖尿病網膜症の初期段階にあたります。
網膜の毛細血管に微小な出血や膨らみ(毛細血管瘤)が生じますが、この時期は多くの場合、自覚症状がほとんどありません。

進行してくると、 視界がかすむ、細かいものが見えにくい、黒い点がちらつく(飛蚊症) といった症状が出ることがあります。
ただし、症状の有無にかかわらず進行することがあり、気づかないうちに病状が悪化することもあります。

単純網膜症の段階で適切に血糖値をコントロールし、定期的に眼底検査を受けることが、重症化を防ぐ上で重要です。

前増殖糖尿病網膜症

前増殖糖尿病網膜症は、単純網膜症がさらに進行した段階で、網膜の血流障害が強まり、血管の狭窄や閉塞が目立つようになります。
この状態になると、網膜の一部に十分な酸素や栄養が届かなくなり、虚血と呼ばれる領域が広がります。

自覚症状としては、 視界のかすみや歪み、小さな黒い点や影が見えることが増え、見え方に違和感を覚える 場合があります。
ただし、症状の進行は緩やかなこともあり、患者本人が気づきにくいケースも少なくありません。

この段階を放置すると、新生血管が生じて増殖糖尿病網膜症へ移行し、失明の危険が高まります。
そのため、前増殖の段階で適切な治療と管理を受けることが極めて重要です。

増殖糖尿病網膜症

増殖糖尿病網膜症は、糖尿病網膜症の最も進行した段階で、虚血状態が続く網膜に新生血管が生じるのが特徴です。
これらの新しい血管は非常にもろく、容易に出血して硝子体出血や網膜剥離を引き起こすことがあります。

自覚症状としては、 急激な視力低下、視界の一部が黒く欠ける、霧がかかったように見えるといった異常 が現れます。
特に硝子体出血を起こすと、突然視界が真っ黒になることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。

この段階では失明の危険性が非常に高いため、レーザー光凝固や硝子体手術などの積極的な治療が必要となります。
早期から定期検診を受け、増殖段階に進行する前に治療を開始することが視力を守る鍵となります。

糖尿病黄斑浮腫

糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の合併症の一つで、視力に最も重要な役割を担う「黄斑」と呼ばれる網膜の中心部にむくみ(浮腫)が生じる病態です。
網膜の血管から血液成分が漏れ出すことで黄斑が腫れ、視力低下を引き起こします。

自覚症状としては、 視界の中心がかすむ・歪んで見える・小さな文字が読みにくいなど、日常生活に直結する見え方の異常 が現れます。
進行すると視力が大きく低下し、回復が難しくなることもあります。

糖尿病黄斑浮腫は糖尿病網膜症のどの段階でも発症し得るため、糖尿病患者は症状がなくても定期的な眼科検診が不可欠です。
早期に適切な治療を受けることで、視力の維持につながります。

糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症の治療は、進行の段階や症状に応じて方法が異なります。
基本となるのは、血糖値・血圧・脂質の適切なコントロールです。
生活習慣の改善や内科的治療により、網膜症の進行を抑えることが可能です。

病状が進行した場合には、レーザー光凝固術による新生血管の抑制、抗VEGF薬の硝子体内注射による黄斑浮腫の改善、さらに重度の場合には硝子体手術が行われます。
これらの治療はいずれも、視力の回復ではなく「進行を食い止めること」が目的となります。

糖尿病網膜症は早期に治療を開始することで予後が大きく変わるため、症状がなくても定期的な検査を受け、必要に応じて適切な治療を受けることが大切です。

POINT

糖尿病網膜症の治療は、失った視力を取り戻すのではなく進行を防ぐことが主な目的です。
そのため、自覚症状がなくても検査を怠らず、早期に診断・治療を受けることが視力を守るための最も重要な手段となります。

01

レーザー光凝固術

レーザー光凝固術は、 糖尿病網膜症の進行を抑えるために行われる代表的な治療法 です。
網膜の虚血部分にレーザーを照射して、新生血管の発生や網膜出血を予防することを目的 としています。
レーザーによって網膜の酸素需要を減らし、網膜全体の循環状態を改善させる効果があります。

治療は外来で行うことが多く、点眼麻酔を用いて短時間で実施できます。
治療後は視界に一時的なかすみや暗点を感じることがありますが、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないとされています。
ただし、視力を回復させる治療ではなく、あくまで「これ以上進行させないこと」を目的としている点に注意が必要です。


[イエロースキャンレーザ光凝固装置 YLC-500Vixi™]
当院で使用しているイエロースキャンレーザ光凝固装置 YLC-500Vixi™は、眼科領域で広く用いられている最新のレーザー治療機器のひとつです。
波長577nmの黄色レーザーを採用しており、網膜の血管や黄斑部に対して選択的に作用しやすく、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えられるのが特徴 です。

従来のレーザー装置に比べ、 痛みや術後の炎症が少なく、視力に直結する黄斑部付近の治療にも適しています
また、マルチスポット照射やスキャンパターン機能により、短時間で効率的に治療を行うことができ、患者様の負担軽減にもつながります。

02

硝子体注射

硝子体注射は、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の治療に広く用いられる方法で、薬剤を眼球内の硝子体に直接注射することで効果を発揮します。
特に、血管の異常な新生や浮腫の原因となる物質(VEGF:血管内皮増殖因子)の働きを抑える「抗VEGF薬」が主流です。


この治療によって 新生血管の増殖や黄斑部の腫れを抑えることができ、視力の安定や改善 が期待されます。
処置は点眼麻酔下で行われ、数分程度で終了します。
術後は軽度の異物感や充血がみられることがありますが、多くは数日で改善します。

硝子体注射は繰り返しの投与が必要となるケースも多いため、継続的に通院しながら適切な管理を行うことが大切です。

03

硝子体手術

硝子体手術は、糖尿病網膜症が進行し、硝子体出血や網膜剥離など重度の合併症を起こした場合に行われる外科的治療です。
眼球内部の透明なゼリー状の組織である硝子体を取り除き、出血や濁りを除去するとともに、網膜を再び正常な位置に戻すことを目的 とします。

手術は顕微鏡下で行われ、微細な器具を用いて硝子体を切除し、必要に応じてレーザー照射や網膜を押さえるためのガス・シリコンオイルを充填します。
これにより、視力の改善やさらなる病状悪化の予防が期待 できます。

硝子体手術は高度な技術を要する手術ですが、糖尿病網膜症による失明を防ぐために極めて重要な役割を果たしています。
術後は回復までに一定の期間を要するため、術後管理と定期的な経過観察が欠かせません。

検査について

検査について

当院では、糖尿病網膜症の早期発見と進行評価のために複数の検査を組み合わせて行います。
まず基本として「視力検査」「眼圧検査」「眼底検査」を実施し、網膜の出血や血管異常、小さな浮腫の有無をチェックします。

さらに精密検査として 蛍光眼底造影検査 や 光干渉断層計(OCT)検査 を用い、網膜の血管透過性や網膜の断面構造を詳細に観察します。
こうした検査により、病変の進行度を判断し、最適な治療方針を決定します。

定期的に眼底検査を!!

糖尿病網膜症は初期には自覚症状が現れにくいため、発見には精密眼底検査が有効です。
点眼薬で瞳孔を広げ、眼底に光をあてて網膜の状態を詳しく調べることで、ごく初期の点状出血や細かな血管の変化まで捉えることができます。

精密眼底検査の目安
網膜症のない方 年に1回
単純網膜症の方 3〜6ヶ月に1回
前増殖網膜症の方 1〜2ヶ月に1回
増殖網膜症の方 2週間〜1ヶ月に1回

精密眼底検査

精密眼底検査は、糖尿病網膜症を早期に発見するための基本かつ重要な検査です。
点眼薬を用いて瞳孔を広げた状態で、眼底に特殊な光をあて、網膜や血管の状態を詳しく観察します。
これにより、 ごく初期の点状出血や毛細血管の異常、網膜のむくみなど、通常の検査では見つけにくい異常を把握することが可能 です。

検査自体は比較的短時間で行うことができ、痛みはほとんどありません。
ただし、瞳孔を広げた影響で検査後数時間は光がまぶしく感じたり、手元が見えにくくなることがあるため、 当日の車の運転は避ける必要があります

糖尿病と診断された方は、自覚症状がなくても定期的にこの検査を受けることが、視力を守るための大きな鍵となります。

眼底自発蛍光検査

眼底自発蛍光検査(FAF)は、網膜の健康状態を評価するために行われる非侵襲的な検査です。
特殊なカメラを用いて、網膜内に存在する色素(リポフスチンなど)が発する微弱な光を撮影し、その分布や異常を解析します。

FAG(蛍光眼底造影)と異なり、造影剤を使用する必要がなく、身体への負担が少ないことが大きな特徴です。
そのため、注射や造影剤によるアレルギー反応の心配がなく、より安全に実施できる検査方法といえます。

 

FAFによって、網膜の代謝異常や萎縮、ダメージを早期に把握でき、黄斑疾患や網膜色素変性などの診断・経過観察に役立ちます。
検査は短時間で痛みもなく、複数回の撮影で状態の変化を追うことができるため、治療方針の決定にも有効です。

治療費用

糖尿病網膜症の治療費用は、治療内容や進行度によって異なります。
基本的に、眼底検査やレーザー光凝固術、硝子体注射、硝子体手術などは健康保険が適用され、患者様の自己負担は通常3割(高齢者は1割または2割)となります。

治療法 1割負担の目安 2割負担の目安 3割負担の目安
レーザー光凝固術 約3,000〜10,000円 約6,000〜20,000円 約10,000〜30,000円
硝子体注射(抗VEGF薬1回) 約5,000〜15,000円 約10,000〜30,000円 約15,000〜45,000円
硝子体手術 約20,000〜40,000円 約40,000〜80,000円 約60,000〜120,000円

お気軽に
お問い合わせください

ザ・タワー十条よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。 予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。
※ご予約なしの場合でも診察は可能です。ただし、ご予約の方が優先となりますので、予めご了承ください。

視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。

この記事の監修
ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

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