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結膜の病気

結膜炎により目のかゆみを感じている女性

結膜炎とは、さまざまな刺激やウイルスなどが原因で結膜が炎症を起こしている状態です。結膜の疾患といえば結膜炎を思い浮かべる方が多いでしょう。結膜炎は原因や症状によって複数種類に分類されます。結膜の疾患には結膜炎以外にも、結膜下出血や結膜弛緩症、翼状片などの病気があります。

結膜は目の表面を外界の刺激から守る重要な役割を果たしています。しかし、外部にさられて刺激を受けやすく、炎症を引き起こしやすい部位でもあります。

結膜の疾患が疑われる場合は、早めに眼科を受診し適切な治療を受けましょう。

ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

目次

結膜炎

健康な目と結膜炎の目

ウイルスや外部からの刺激などによって結膜が炎症を起こしている状態のことを結膜炎といいます。結膜炎は結膜の疾患の中で最も多いものです

原因や症状によって以下の3つに分類されます。

・アレルギー性結膜炎(花粉症)
・細菌性結膜炎
・ウイルス性結膜炎

それぞれの特徴や治療法、注意点を詳しく解説します。

アレルギー性結膜炎(花粉症)

アレルギー性結膜炎(花粉症)

アレルギー性結膜炎とは、目の表面にアレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)が付着することによって結膜が炎症を起こす病気です。アレルギー性結膜疾患の有病率は48.7%で、結膜になんらかの症状が現れているのは国民の2人に1人に達することになります。

アレルゲンには花粉やハウスダストなどがあります。

アレルギー性結膜炎を引き起こす主なアレルゲンと発症時期

スギ花粉          1〜5月       
ヒノキ花粉 3〜5月
カモガヤ花粉 5〜7月
ブタクサ花粉 8〜10月
ハウスダスト 1年中
コンタクトレンズの汚れ 1年中

アレルギー性結膜炎の分類

アレルギー性結膜炎は以下の2つに分類されます。

 

・季節性アレルギー性結膜炎

・通年性アレルギー性結膜炎

花粉症など特定の季節に症状が現れるものは季節性アレルギー性結膜炎で、季節性アレルギー性結膜炎は、カビの胞子または草木の花粉が原因であることが多く、春から初夏にかけて発生するのが典型的です。
季節問わず年中症状が現れるものは通年性アレルギー性結膜炎で、主な原因としてはチリダニや動物のふけなどがあります。

アレルギー性結膜炎の症状

アレルギー性結膜炎では以下のような症状が現れます。

  • 目の痒み:アレルギー性結膜炎の最も特徴的な症状です。
  • 目の充血:血管が拡張するため目が赤くなります。
  • 目やに:薄くて水状の目やにが出ることもあります。
  • 目のゴロゴロ、異物感:目に何か入ったような異物感を感じることがあります。

アレルギー性結膜炎の予防

アレルギー性結膜炎を予防するためには、アレルゲン(原因物質)への接触を避けることが最も重要です。
花粉症の方であれば、外出時はマスクやメガネを着用することで、花粉の付着を防げます。帰宅後は衣類や髪などについた花粉を払い落として、手洗い、うがい、洗顔をするとよいでしょう。
ハウスダストが原因の場合は、こまめに掃除をして埃が溜まらないよう心がけましょう。寝具を天日干しすることも有効です。

当院のアレルギー性結膜炎治療

当院では日常生活に支障がないようにアレルギー症状を抑えて悪化しないようにする対処療法を行っています。

主な治療は以下の4つです。

目の痒みなどの症状を抑える

まずは、症状が悪化しないよう適切な薬を処方して、症状の改善を促します。アレルギー性結膜炎の症状は薬によって改善が可能ですので、これまで花粉症などで悩まれてきた方も諦めずに治療しましょう。

抗アレルギー点眼薬による治療

抗アレルギー点眼薬による治療」では、ヒスタミンH1拮抗薬とメディエーター遊離抑制薬を処方します。ヒスタミンH1拮抗薬には、痒みを引き起こすヒスタミン作用を阻害する作用があります。痒み症状が強く出ている時に有効です。
メディエーター遊離抑制薬はヒスタミンなどの増加を抑える効果があります。効果が出るまで2週間程度かかりますので、花粉が飛散する2週間ほど前から点眼を始めておくと花粉が飛散している期間中の症状を軽減することが可能です。

副腎皮質ステロイド薬の投与

「副腎皮質ステロイド薬」は、強いアレルギー症状が出ている時に処方します。副腎皮質ステロイドは強力な効果がみられ、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などにも有効な優れた薬です。
しかし、副作用として眼圧上昇などの症状がみられることがあるため注意が必要です。

細菌性結膜炎

細菌性結膜炎とは、目の表面を覆う結膜が細菌に感染して炎症を起こす病気です。結膜が細菌に感染することによって引き起こされる病気です。子どもや高齢者がかかりやすい傾向にあります。
原因となる細菌はさまざまですが、インフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などの細菌があり、これらの細菌は、健康な人の皮膚や鼻腔などにも存在する常在菌ですが、目に感染することで結膜炎を引き起こすことがあります。
主な症状は、目の充血や目の痒み、粘着性の黄色い目やに、異物感などが生じます。初期症状は、主に片方の目に現れることが多く痛みやかゆみはほとんどないケースが多いです。
治療では抗生物質が入った点眼薬を使用します。点眼治療を行うことで3日〜1週間程度で症状が改善します。

注意!

涙の自浄作用によって自然治癒することもありますが、重症化することで視力が低下したり失明につながったりすることもあります。
細菌性結膜炎は、早期に適切な治療を行うことで、重症化を防ぐことができる眼疾患です。症状が出た場合は、速やかに眼科を受診し、医師の指示に従って治療を行いましょう。

ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎とは、ウイルスの感染によって結膜が炎症を起こす病気です。ウイルス性結膜炎になると、目やにや涙が出たり、まぶたが腫れたり、目が赤くなるなどの症状が現れます。

代表的なウイルス性結膜炎は以下の3つです。

流行性角結膜炎 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎
別称 はやり目 プール熱
ウイルス アデノウイルス
(8型・19型・37型・53型等)
アデノウイルス
(3型・4型・7型・11型等)
エンテロウイルス70型
コクサッキーウイルスA24変異株
特徴 感染力が非常に強い
夏場に流行
小児の間で夏風邪として流行し、
プールを介して感染・流行
通年性 (季節を問わず発症する)
症状 発症から約2週間で黒目が濁り、
目のかすみや眩しさを感じる
多量の目やにや充血、まぶたの腫れ、
結膜のむくみ、耳前リンパ節の腫れや圧痛など
炎症が強いとドライアイを
引き起こしたり結膜に瘢痕を残す
5〜7日ほどの潜伏期間を経て、
39度前後の発熱や目の充血、
目やに、 喉の痛み、倦怠感を発症
1〜3日ほどの潜伏期間を経て、
強い目の充血 目やにや異物感を発症

ウイルス性結膜炎の注意点

ウイルス性結膜炎に感染したら、他の人にうつさないよう気をつけなければなりません。
家族と一緒に暮らしていると、感染が広がりやすいので注意が必要です。感染している人も感染していない人もお互いに自分の目を触らないよう心がけましょう。
またウイルス性結膜炎は、学校保健安全法に基づき出席停止となる結膜疾患です。成人の方も人と接触する機会が多い職種では休業することが推奨されています。

結膜下出血

結膜下出血のイメージ

結膜下出血とは、結膜下にある小さな血管が破れて出血した状態です。出血が結膜の下で広がるため、白目部分が赤く染まるのが特徴です。小さな斑点のように赤くなるものから、眼球の結膜を覆うほど広範囲に広がるものもあります。
結膜下出血と結膜充血は症状が似ているため、誤認されることも少なくありません。結膜下出血と結膜充血の違いは、血管の走行が見えるかどうかです。
結膜下出血の場合は、血管が破れて出血しているため、血管の走行は見えません。一方で、結膜充血の場合は細い血管が拡張して赤くなるため、血管の走行が目立ちやすくなります。
また、結膜下出血の症状は目がゴロゴロするなどの違和感はありますが、痛みはありません。目の痒みや目やに、視野が狭くなるなどの症状もありません。出血以外に、痛み、かゆみ、目やに、視力低下などの症状がある場合は、他の病気の可能性があるので、眼科を受診してください。
結膜下出血の原因はさまざまで、不明な場合も多くあります。外傷や目を擦るなどの刺激によるもののほかに、くしゃみや咳、月経などによっても出血することがあります。また、結膜炎や全身疾患、加齢による結膜の弛緩なども原因となることがあります。 多くの場合、1〜2週間ほどで出血が自然に吸収されるため、特別な治療は必要はありません。ただし、出血量が多い場合や、症状が強いと吸収されるのに2〜3ヶ月かかるケースもあります。症状が長引くようでしたらすぐに眼科を受診しましょう。

注意!

ほとんどの場合、出血自体は自然に吸収されるので治療が不要ですが、眼外傷を受けたことによって出血している場合はすぐに治療が必要です。
急性出血性結膜炎や流行性角結膜炎などの場合は、痛みや痒みなどを伴います。 他の人にうつさないようにするためにも、診察を受けて適切な処置を受けましょう。
頻繁に結膜下出血を繰り返す場合は、動脈硬化や糖尿病、高血圧、白血病、紫斑病などの疑いもありますので内科で検査をご案内する場合がございます。

結膜弛緩症

結膜弛緩症とは、結膜がたるんでしまう状態のことをいいます。結膜には適度な緩みがあるのですが、それが平均より強い状態を指し、主に加齢やコンタクトレンズの使用で増える傾向があります。下まぶたに沿ってたるみが生じますが、症状が強いと、黒目部分までたるみが盛り上がることもあります。
強い痛みは感じないものの、不快な異物感があり、涙が出やすくなります。涙が出る原因は、ゆるんだ結膜がひだを作ることで涙の流れを阻害し、ひだ部分に涙が溜まって溢れ出てしまうからです。

コンタクトレンズ

結膜弛緩症の発症原因ははっきりとは分かりません。ただ、加齢によって結膜の緩みは強くなるため、結膜弛緩症を発症しやすい傾向にあります。また、コンタクトを使用している方も症状が出やすいことが分かっています。

そのほか、結膜がたるむことで毛細血管が引っ張られて出血してしまう「結膜下出血」を引き起こすことがあります。

結膜下出血を何度も繰り返す場合は、結膜弛緩症であることが多いと言えるでしょう。

主な結膜弛緩症の治療は、主に点眼薬による保存療法と、弛緩した結膜を切除する手術療法があります軽度の症状の場合、レバミピド点眼薬やステロイド点眼薬を使用します。症状が重度の場合は、緩んだ結膜を切除する手術を行うこともあります。

翼状片

翼状片のイメージ

翼状片とは、結膜の組織が黒目部分にまで三角形にのびてくる疾患です。
目頭側でみられることが多いですが、目尻側や上下で生じることもあります。
黒目部分にまで進入してきた結膜の組織が、鳥の翼のような見た目をしていることから「翼状片」と呼ばれるようになりました。

POINT

原因は不明ですが、紫外線やホコリで、外で仕事をされる方(漁業や農業など)が発症しやすい傾向にあります。そのほかにも長期的にコンタクトをしている方など慢性的な刺激によっても発症しやすいといわれています。

翼状片を発症すると、初期の場合には自覚症状が少ないものの目の中がゴロゴロするなどの異物感や充血症状が現れます。翼状片は、ゆっくりと症状が進行する特徴があり、黒目部分まで進入した組織が白く濁って盛り上がってきます。組織の進入が進行することで乱視がみられ、視力低下につながることがあります。
翼状片の治療は、症状の程度や進行具合によって異なります。悪性の組織ではないため、翼状片がそれほど進行していない場合は必ずしも治療は必要ありません。充血などの症状に合わせて点眼薬を使用します。視力の低下を引き起こしたり、見た目を気にされたりする場合は、組織を切除する手術を行うこともあります。
ただし、手術を行っても再発率が高いことや充血症状が残りやすいという注意点もあります。紫外線や乾燥は翼状片の悪化を招く可能性があるため、紫外線対策や加湿を心がけましょう。

お気軽にお問い合わせください。

ザ・タワー十条よつば眼科医院では、WEB予約またはお電話予約を承っております。 予約していただくことによって、診療までの待ち時間が少なくなります。
※ご予約なしの場合でも診察は可能です。ただし、ご予約の方が優先となりますので、予めご了承ください。

視野検査・眼鏡処方・コンタクトレンズのご予約はWeb予約では承ってません。直接当院へお問い合わせください。

この記事の執筆者
ザ・タワー十条よつば眼科医院院長 久米川 浩一
ザ・タワー十条よつば眼科医院
院長 久米川 浩一

大学病院や総合病院で、様々な症例に対して診察・治療を行ってきた経験から、目のお悩みに対する幅広い知見を持っています。
本院「きたあやせよつば眼科」と3つの分院のうち一つ、ザ・タワー十条よつば眼科医院の院長として2025年に就任。

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